【獣医師監修】犬の歯周病完全ガイド|症状・治療・予防法まで徹底解説
2025年8月7日
愛犬の口臭が気になったり、歯茎が赤く腫れているのを見かけたことはありませんか?これらは犬の歯周病の初期症状かもしれません。実は、3歳以上の犬の約80%が何らかの歯周病に悩まされているという驚くべき事実があります。犬の歯周病は単なる口の問題ではなく、放置すると心臓や腎臓など全身の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、飼い主として正しい知識を持つことが大切です。今回は、犬の歯周病の基礎知識から症状の見分け方、治療方法、そして日頃からできる予防ケアまで、愛犬の健康を守るために知っておきたい情報を詳しくご紹介します。
ブログ 医療監修
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監修:わんにゃん保健室 獣医師 江本 宏平
https://asakusa12.com
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目次
- 1. 犬の歯周病とは?知っておきたい基礎知識
- 歯周病の原因
- 症状と影響
- 早期発見の重要性
- 2. こんな症状に要注意!歯周病のサイン
- 初期症状
- 中期症状
- 重度の症状
- 目を光らせるべき行動
- 3. 放っておくと怖い!歯周病が全身に及ぼす影響
- 心臓病との関連
- 腎臓への影響
- 肝機能の低下
- 呼吸器疾患
- 糖尿病との相関
- 症状の現れ
- 4. 愛犬の歯周病、治療方法と費用について
- 治療方法の種類
- 治療にかかる費用
- 治療にあたる注意点
- 5. 歯磨きで予防!正しい歯周病ケアの方法
- 歯ブラシや歯磨き粉の選び方
- 歯磨きのステップ
- 歯磨きの習慣をつける
- 歯磨きガムやおもちゃの活用
- まとめ
- よくある質問
- 犬の歯周病の原因は何ですか?
- 歯周病の初期症状にはどのようなものがありますか?
- 歯周病が放置されると、どのような全身への影響がありますか?
- 犬の歯周病の治療費はどのくらいかかりますか?
1. 犬の歯周病とは?知っておきたい基礎知識
犬の歯周病は、主に歯肉炎と歯周炎の二つの段階に分類されます。この病気は口腔内に存在するバイ菌が主な要因であり、放置すると愛犬の健康に重大なリスクをもたらす可能性があります。異変に早く気づくことが非常に重要ですが、初期段階では症状が軽微であるため、飼い主が気づくのは難しいことが多いです。
歯周病の原因
犬の歯周病は、最初に歯垢が蓄積されることから始まります。歯垢は、唾液や食べ物の残り、そしてバイ菌が結びつくことで形成され、歯に付着することで歯茎に炎症を引き起こします。この炎症が進行することで、歯の根元にある骨や組織にも影響を及ぼすことがあります。犬の歯周病を引き起こす主な要因は以下の通りです。
- 歯垢の蓄積:定期的に歯磨きをしないと、歯垢は徐々に石灰化して歯石に変わります。
- 遺伝的要因:特定の犬種は遺伝的に歯周病にかかりやすい傾向があります。
- 年齢:犬が年を重ねるにつれて、歯周病のリスクが高まります。
症状と影響
犬の歯周病は初期の段階では目立った症状があまり現れませんが、進行するにつれて次のような兆候が見られます。
- 歯茎の赤色や腫れ:健康的な歯茎は薄いピンク色ですが、炎症が進行すると赤く腫れます。
- 出血:歯磨きの際に出血が見られることがあります。
- 口臭の悪化:バイ菌の増殖によって不快な匂いが発生します。
- 唾液の増加:口内の異常により、通常よりも多くの唾液が分泌されることがあります。
これらの症状は愛犬の生活の質に大きな影響を及ぼし、食事や遊びの楽しみを奪う可能性があります。また、歯周病が進行すると、心臓や腎臓といった他の健康面にも悪影響を与えるリスクがあります。
早期発見の重要性
犬の歯周病は早期に発見し、適切な治療を行うことでその進行を防ぐことが可能です。実際、3歳以上の犬の約80%が何らかの形で歯周病に悩まされているというデータがありますので、定期的な口内ケアと獣医での診察が非常に重要です。愛犬の健康を守るためには、飼い主としての役割を果たすために努力が求められます。
2. こんな症状に要注意!歯周病のサイン
愛犬の歯周病は、初期段階では目立たない症状から始まるため、飼い主が気づかないうちに進行してしまうことが多いです。ここでは、歯周病に見られる特徴的な症状を詳しくご紹介しますので、愛犬に該当する症状があれば早めに対応しましょう。
初期症状
1. 口臭の悪化
愛犬の口から普段とは異なる強い口臭が漂ってくることがあります。特にご飯やおやつを食べた後に口臭が気になる場合、歯周病の初期のサインかもしれません。
2. 歯茎の腫れ
歯周病が進むにつれて、歯茎が赤く腫れ上がり、触ると痛がることが見られます。この状態は歯肉炎とも呼ばれ、適切なケアと早期対応が重要です。
中期症状
3. 歯のぐらつき
歯周病がさらに悪化すると、犬の歯がぐらつき始め、最終的には抜け落ちる危険性が高まります。これは重度の歯周病のサインであり、早急に病院での治療が必要です。
4. 出血や膿の排出
歯茎からの出血や膿が見られると、特に注意が必要です。おもちゃで遊んでいるときに血がついていることがあるかもしれませんので、観察を怠らないようにしましょう。
重度の症状
5. 顔の腫れ
歯周病が進行した場合、顎の周りや歯の周囲に膿が溜まり、顔が腫れることがあります。この変化は愛犬にとって非常に苦痛で、痛みが伴うことが多くあります。
6. 食事への影響
歯に痛みがあり、食事を拒否するようになることもあります。食べるときに辛そうにしている様子が見えたら、早急な対処が必要です。
目を光らせるべき行動
ここで挙げた症状を見逃さないために、愛犬の口内を定期的にチェックする習慣をつけることが重要です。以下のポイントに注目して観察してください。
- 口臭の変化
- 歯茎の色や腫れ
- 食事中の行動
- おもちゃに血がつくこと
愛犬の健康を守るためには、早期の発見がカギとなります。症状を感じたら、すぐに動物病院での診断を受けることを強くおすすめします。
3. 放っておくと怖い!歯周病が全身に及ぼす影響
犬の歯周病は、口腔内の健康にとどまらず、全身に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。ここでは、犬の歯周病がもたらすさまざまな健康リスクについて解説します。
心臓病との関連
歯周病によって生じる口腔内のバイ菌は、血流を介して全身に拡散することがあります。この細菌が心臓などの重要な臓器に感染するリスクを増加させ、特に心疾患を持つ犬では症状が悪化する可能性があります。定期的な口腔ケアが愛犬の健康を守るために欠かせません。
腎臓への影響
犬の歯周病は腎臓の機能に対しても深刻な影響を与えることがあります。口の中の細菌が血流に侵入し、腎臓に感染を引き起こすリスクが高まります。特に、腎不全や潰瘍性腎炎の症状が進行すると、適切な治療が遅れることで重大な結果を招く可能性があります。
肝機能の低下
犬の歯周病は肝臓にも影響を及ぼすことがあります。肝臓は体内の有害物質を解毒する重要な役割を持っており、歯周病による細菌感染が血液を汚染することで肝機能が低下する危険性があります。そのため、健康維持のためには口腔内の清潔さが重要です。
呼吸器疾患
歯周病のある犬では、口腔内の細菌が気道に入り込むことが増え、これが気管支炎や肺炎などの呼吸器系疾患を引き起こす原因となります。特に高齢犬や免疫力が低下した犬の場合、これらのリスクが一層高まります。
糖尿病との相関
最近の研究によれば、犬の歯周病が血糖値の安定を妨げ、糖尿病のリスクを高めることが示されています。歯周病による炎症がインスリンの働きを妨げることで、血糖コントロールが難しくなることがあります。このため、犬の口腔ケアは特に重要です。
症状の現れ
歯周病が進行すると、犬が示す症状には以下のようなものがあります。
- 食欲の低下:食事が困難になり、食べることへの興味が失われるかもしれません。
- 口臭:不快な口臭が強くなる場合、歯周病が進行している可能性があります。
- 元気がない:普段の元気が感じられず、活力が低下することは病気のサインです。
犬の健康は口腔内の状態と密接に関連しているため、早期の発見と治療が欠かせません。犬の歯周病を放置することが健康リスクにつながることを認識し、適切な口腔ケアを行うことが大切です。
4. 愛犬の歯周病、治療方法と費用について
犬の歯周病は、多くの愛犬家にとって避けられない重大な健康問題であり、その早期発見と対処が非常に重要です。このセクションでは、犬の歯周病のさまざまな治療法とそれにかかる費用について詳しく解説します。
治療方法の種類
犬の歯周病に対する治療は、その進行状況によって異なります。以下に代表的な治療方法を示します。
1. 歯石除去
軽度および中度の犬の歯周病では、最初のステップとして歯石除去が行われます。専用の器具を用いて、歯に付着したプラークや歯石を取り除きます。この処置では、犬に負担をかけないために麻酔が使用されることが一般的です。
2. 抗生物質の投与
犬の歯周病を引き起こす細菌の活動を抑制するために、獣医師により抗生物質が処方される場合があります。これにより、炎症の軽減や感染予防の効果が期待されます。
3. 抜歯
重度の歯周病が進行している場合、抜歯が必要になることがあります。特に、グラグラしている歯や、周囲の骨が溶けている場合には、抜歯が避けられません。この手続きは通常、全身麻酔のもとで行います。
4. 手術
進行した歯周病では、歯肉の縫合などの手術が必要になることがあります。炎症を取り除くための切開や、組織再生を目指す手術を行うことで、犬の歯と歯茎の健康を回復させることを目指します。
治療にかかる費用
犬の歯周病治療にかかる費用は、施術内容や地域によって異なるため一概には言えませんが、以下のような一般的な価格帯があります。
- 軽度の場合: 歯石除去およびクリーニングの費用は約30,000〜40,000円です。
- 中度の場合: 数本の抜歯が含まれる治療では、約50,000〜80,000円かかります。
- 重度の場合: 10本以上の抜歯が必要な場合、費用は100,000円以上になることがあります。
治療費は、施術の内容や動物病院の場所、さらには愛犬の健康状態にも影響されます。ペット保険に加入している場合は、保険が適用されるかどうかを事前に確認することが大切です。
治療にあたる注意点
犬の歯周病治療を行う際には、次の点に注意が必要です。
- 定期的な健康チェック: 歯周病は静かに進行するため、早期発見がカギです。
- 適切なアフターフォロー: 抜歯後は、獣医師の指示に従って適切に薬の管理を行うことが求められます。
- 飼い主のケア: 愛犬の様子を注意深く観察し、異常を感じた場合はすぐに獣医師に相談することが大切です。
愛犬の健康を守るためには、犬の歯周病についての理解を深め、適切な治療を行うことが非常に重要です。この知識を活かして、愛犬の美しい笑顔を守りましょう。
5. 歯磨きで予防!正しい歯周病ケアの方法
愛犬の歯周病を予防するためには、日々の歯磨きが欠かせません。歯磨きは歯垢を除去し、口腔内の健康を維持するために必要な習慣です。しかし、犬が歯磨きを嫌がることも多く、飼い主にとっては難しい場合があります。ここでは、効果的な歯磨きの方法とポイントについて詳しく解説します。
歯ブラシや歯磨き粉の選び方
犬用の歯ブラシは、まずは愛犬の口の大きさに合わせて選びましょう。以下のポイントを考慮します:
- サイズ: 小型犬には小さなヘッド、大型犬には大きなヘッドの歯ブラシが適しています。
- 形状: 360度磨けるタイプや指にはめて使うタイプも便利です。特に、口をあまり開けたがらない犬には指にはめるタイプがおすすめです。
- 歯磨き粉: 人間の歯磨き粉は使用せず、犬専用のものを選びましょう。フレーバーに工夫があり、愛犬が喜んで使うことができるものが多いです。
歯磨きのステップ
歯磨きを始める際には、トレーニングが必要です。以下のステップを参考に、徐々に慣れさせていきましょう。
- 口の周りを触る: 最初は、愛犬にストレスを与えないように口の周りを触るところから始めましょう。少しずつ慣らしていきます。
- 唇をめくる: 口の周りに慣れたら、唇を優しくめくり、歯や歯茎に指が触れるようにします。この時、愛犬が嫌がらないように優しく行います。
- 歯ブラシを当てる: 歯ブラシを持ち、歯に軽く当てることから始めます。この時、ほめてあげることでポジティブな印象を持たせましょう。
- 実際に歯磨き: 準備が整ったら、実際に歯磨きを行います。歯の表面や歯茎を意識して優しく磨いてあげます。短時間から始め、徐々に時間を延ばしていきます。
歯磨きの習慣をつける
歯磨きの効果を高めるためには、毎日の習慣として取り入れることが重要です。以下は、習慣化を助けるコツです:
- ルーチン化: 食後など、特定の時間に行うことで習慣をつけやすくなります。
- ごほうび: 磨いた後にはおやつや褒め言葉を与えることで、愛犬のモチベーションを高めます。
- ストレスを与えない: 無理に磨こうとすると愛犬がストレスを感じることがあります。焦らず、愛犬のペースに合わせて進めましょう。
歯磨きガムやおもちゃの活用
歯磨きが難しい場合、歯磨きガムやデンタルおもちゃの利用を検討してみてください。これらは噛むことで歯垢を減少させる効果があります。遊びながら歯の健康を保てるので、愛犬も楽しみながらケアできます。
歯周病予防は、愛犬の健康な生活を維持するために重要です。正しい歯磨きの方法を身につけ、楽しみながら愛犬の口腔ケアを行いましょう。
まとめ
犬の歯周病は放置すると深刻な影響を及ぼす可能性がある深刻な問題ですが、正しい予防と対処を行えば、愛犬の健康を守ることができます。定期的な獣医師の診察と、毎日の歯磨きなどの家庭でのケアを組み合わせることで、犬の歯周病を未然に防ぐことができます。飼い主の皆さんには、愛犬の健康的な笑顔を守るために、この記事で紹介した知識を活かして日頃のケアに取り組んでいただきたいと思います。
よくある質問
犬の歯周病の原因は何ですか?
犬の歯周病の主な原因は、歯垢の蓄積、遺伝的要因、そして年齢の増加です。歯垢が石灰化して歯石になることで、歯茎に炎症を引き起こします。また、特定の犬種は遺伝的に歯周病にかかりやすく、犬の年齢が高くなるにつれてリスクが高まります。
歯周病の初期症状にはどのようなものがありますか?
犬の歯周病の初期症状には、口臭の悪化、歯茎の腫れが代表的です。このような症状が見られた場合は、早期発見と適切な治療が重要です。また、食事への影響や顔の腫れなど、進行した症状にも注意が必要です。
歯周病が放置されると、どのような全身への影響がありますか?
犬の歯周病が放置されると、心臓病、腎臓への影響、肝機能の低下、呼吸器疾患、さらには糖尿病のリスク増加など、様々な全身への深刻な影響が危惧されます。早期発見と適切な治療が肝心です。
犬の歯周病の治療費はどのくらいかかりますか?
犬の歯周病の治療費は、病状の程度によって大きく異なります。軽度の場合は約30,000~40,000円、中度では50,000~80,000円、重度では100,000円以上かかることがあります。ペット保険の活用も検討すると良いでしょう。
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