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【獣医師監修】犬の鼻腔内腫瘍の症状と治療法|早期発見で愛犬を守る完全ガイド

2025年8月11日

愛犬の健康を守る上で、見落としがちな病気の一つが「鼻腔内腫瘍」です。くしゃみや鼻水といった日常的な症状と区別がつきにくく、発見が遅れがちなこの病気は、早期発見と適切な治療が愛犬の生活の質を大きく左右します。特定の犬種や年齢層でのリスクが高いとされる鼻腔内腫瘍について、その基本的な知識から最新の治療法まで、飼い主として知っておくべき重要な情報をお伝えします。愛犬の小さな変化を見逃さないために、ぜひ最後までお読みください。

ブログ 医療監修

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監修:わんにゃん保健室 獣医師 江本 宏平
https://asakusa12.com
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1. 犬の鼻腔内腫瘍とは?基本的な知識と特徴

犬の鼻腔内腫瘍とは、犬の鼻の内部で形成される腫瘍を指します。これらの腫瘍の多くは悪性であり、犬にとっての健康への影響が非常に大きいことがあります。全体の腫瘍の中で、鼻腔内に発生するものは約1%程度と少ないものの、早期に発見しにくいことが多いため、飼い主は注意深く観察する必要があります。

腫瘍の分類

犬の鼻腔内腫瘍は主に次のタイプに分類されます:

  • 腺癌:最も多く見られるタイプで、犬の鼻腔内腫瘍の約半数を占めます。
  • 扁平上皮癌:腺癌に次いで一般的な悪性腫瘍で、比較的よく見かけます。
  • 未分化癌:進行が非常に速く、治療が厳しいことが多いため特に注意が必要です。
  • 軟骨肉腫骨肉腫:これらは上皮系ではない腫瘍で、発生頻度は少ないものの時折見受けられます。

このように、犬の鼻腔内腫瘍の半数近くは悪性で、特に進行が迅速であることが特徴です。

発生年齢と犬種

鼻腔内腫瘍は主に中年から高齢の犬で見られることが多く、特に以下の犬種がこの病気にかかりやすい傾向があります:

  • シェットランド・シープドッグ
  • コリー
  • ラブラドール・レトリバー
  • ゴールデン・レトリバー
  • ダックスフンド

これらの犬種は鼻腔内腫瘍のリスクが高いとされるため、飼い主は日々の健康管理を怠らないことが重要です。

原因について

犬の鼻腔内腫瘍の具体的な原因はまだ解明されていませんが、いくつかの研究から以下のリスク要因が指摘されています。

  • 年齢:中高齢になるほど腫瘍のリスクは高くなります。
  • 環境要因:タバコの煙やさまざまな化学物質が、腫瘍の発生に影響を与えている可能性があります。

飼い主は愛犬が鼻腔内腫瘍にかかりにくい環境を作るため、生活環境を見直し、注意を払うことが必要です。

鼻腔内腫瘍は、症状が表れるまで気づかれないことが多く、診断の時には病状が進行していることが一般的です。そのため、飼い主は愛犬の健康状態を常に観察し、異常に気づいた際には迅速に獣医師に相談することが極めて重要です。

2. 気をつけたい初期症状と進行の兆候

鼻腔内腫瘍は、初期段階では軽微な症状しか現れないため、見逃されがちです。しかし、早期発見が治療の鍵となるため、飼い主は次のような症状に注意を払う必要があります。

初期症状

  • くしゃみ: 慢性的なくしゃみが見られる場合、鼻炎やアレルギー以外の原因が考えられます。
  • 鼻水: 粘液性の鼻水が増加し、場合によっては血が混ざることもあります。
  • 目やに: 特に片方の目から出ることが多く、炎症の兆候を示すことがあります。

これらの症状は、一般的な鼻炎と類似しているため、飼い主は腫瘍の可能性に気づきにくいことがあります。しかし、症状が持続する場合や悪化している場合は、早急に動物病院を受診することが重要です。

進行の兆候

腫瘍が進行するにつれて、次のような症状が現れることがあります。

  • 鼻出血: 腫瘍から出血することで、定期的に鼻血が出ることがあります。
  • 顔面変形: 鼻の部分が隆起したり、目が飛び出るような顔の変化が見られることがあります。
  • 呼吸困難: 腫瘍が大きくなると、空気の通り道を圧迫し、呼吸が苦しくなることがあります。
  • 神経症状: 腫瘍が脳を圧迫すると、けいれんや麻痺、性格の変化が見られることもあります。

早期発見のためのポイント

下記のチェックリストを参考に、愛犬に異常が見られた場合はすぐに獣医師に相談してください。

  1. くしゃみや鼻水が数日以上続いているか。
  2. 鼻出血が頻繁に見られるか。
  3. 顔の形が変わってきたか。
  4. 呼吸の仕方に異常があるか(例えば、いびきや苦しそうな呼吸)。
  5. 行動の変化や、普段と違った様子が見られるか。

これらの症状は、他の鼻腔内疾患と重なる場合も多いですが、腫瘍の可能性を考慮し、早めに専門的な検査を行うことが推奨されます。痛みを伴わない腫瘍も多いため、何の兆候も見られない場合でも注意が必要です。

3. よく発症する年齢の傾向

犬の鼻腔内腫瘍は、特定の犬種や年齢層において発症する傾向が見られます。このセクションでは、その犬種や年齢の傾向について詳しく解説します。

影響し

年齢の傾向

犬の鼻腔内腫瘍は、主に中高齢犬に多く見受けられます。特に、以下の年齢層での発症が顕著です。

  • 中年犬(5~10歳)
  • 高齢犬(10歳以上)

この年齢層は、全体的に免疫力が低下し、腫瘍の発生が促進される要因が多く存在します。特に高齢犬においては、身体機能や免疫系の老化により、腫瘍が進行しやすいとされています。

男の子と女の子の違い

興味深いことに、鼻腔内腫瘍は男の子に多く見られる傾向があります。具体的には、次のような理由が考えられています。

  • ホルモンの影響 : 男の子のホルモンバランスが腫瘍形成に影響を与える可能性。
  • 生活環境の違い : 飼い主の生活スタイルや環境によっても差が生じることがあります。

このように、犬種や年齢といった要素が鼻腔内腫瘍の発症に大きな影響を与えていることがわかります。飼い主は愛犬の状態を常に観察し、異常を早期に発見することが重要です。

4. 最新の治療法と治療効果について

鼻腔内腫瘍に対する治療法は、最近の医学の進歩により多様化しています。これにより、愛犬の腫瘍に対する戦略が増え、より良い予後が期待できるようになりました。

放射線療法の進展

放射線療法は、鼻腔内腫瘍の治療において主流の方法とされており、特に以下の治療が推奨されています。

  • 低線量多分割照射:この治療法では、低めの線量を使用して何回かに分けて放射線を照射します。多くの症例で臨床症状が80~90%改善するとされ、特に腫瘍の大きさや位置に応じた効果的なアプローチです。
  • 高線量低分割照射:短い期間に高めの線量を照射する方法ですが、急性の副作用が強く出る可能性があるため、患者の状態に応じて慎重に選択されます。

これらの方法により、治療反応が向上することが報告されていますが、副作用についても注意が必要です。

化学療法の役割

化学療法は、鼻腔内腫瘍に対する治療法の一環として考えられていますが、まだ報告が少ないのが現状です。特に、放射線療法との併用で効果が見込まれるものの、単独での使用に関する明確な指針は確立されていません。一部のNSAIDs(例:フィロコキシブ)は抗腫瘍効果を示唆するデータもあり、他の治療法と併用することで有効性が高まる可能性があります。

免疫療法とその期待

最新の研究では、免疫療法も犬の鼻腔内腫瘍に対する治療の選択肢として注目されています。例えば、コルディと呼ばれるサプリメントが腫瘍の増大抑制や再発防止に寄与する可能性が示されています。免疫機能を調整することで、犬の体が病気と戦う力を強化することが期待されています。

治療効果の予測

放射線療法を受けた犬の生存期間中央値は、治療方法や腫瘍の進行度によって異なります。以下の数字は参考になります。

  • 低線量多分割照射の場合:中央値243〜591日、1年生存率が60〜68.4%。
  • 高線量低分割照射の場合:中央値146〜512日、1年生存率が25〜62.4%。

これらのデータは、腫瘍の大きさや種類、患者の年齢など多くの要因に左右されるため、個別のケースに応じたアプローチが大切です。

以上のように、犬の鼻腔内腫瘍に対する治療法は日々進化しており、飼い主の方々は最新の情報をもとに最適な治療を選択することが求められます。犬の健康を守るためには、早期の発見と適切な治療が鍵となります。

5. 早期発見のためのチェックポイントと対処法

犬の鼻腔内腫瘍は、進行が速く悪性度が高いため、早期発見が非常に重要です。特に、初期には他の一般的な鼻の病気と似た症状が多く観察されるため、注意が必要です。ここでは、識別に役立つチェックポイントや対処法について詳しく解説します。

初期症状のチェックポイント

犬が経験する一般的な鼻腔内腫瘍の初期症状には、以下のようなものがあります。

  • くしゃみ:通常より頻繁にくしゃみをする場合。
  • 鼻水:血液が混じることもある鼻水が出る。
  • 口を閉じようとする仕草:鼻の不快感から、口を閉じることがある。
  • 食欲不振:鼻の不快感から、食欲がなくなることもある。

これらの症状が続く場合や悪化する場合には、すぐに動物病院での受診を検討してください。

進行の兆候

腫瘍が進行するにつれて、以下のような新たな症状が見られることがあります。

  • 鼻出血:犬が鼻から血を出すことが増える。
  • 顔の変形:鼻の一部が隆起したり、眼が飛び出すことがある。
  • 神経症状:腫瘍が脳に圧迫をかけることで、発作や運動異常が発生することも。

特に、顔や目の変形が見られる場合は、早急に専門家に相談することが不可欠です。

対処法

早期発見のためには、日常的な観察が重要です。以下の対策を実践しましょう。

  • 定期的な健康診断:特に高齢犬や鼻腔に問題を抱えやすい犬種については、定期検査を受けることが推奨されます。
  • 環境管理:タバコの煙や化学物質を排除することで、発症リスクを減少させます。
  • 注意深く観察:愛犬の行動や健康状態に異変がないか、毎日のようにチェックする習慣をつけましょう。

受診のタイミング

もし上述した症状が見られる場合や、普段の様子と違うと感じた時には、すぐに動物病院を受診することが重要です。早期のCT検査や専門的な診断を受けることで、適切な治療を開始できる可能性が高まります。特に、鼻水が長期間続く場合や悪化する場合には、腫瘍の可能性を考慮し、早めに専門家による診察を受けましょう。

鼻腔内腫瘍は早期発見が治療の鍵を握る病気です。日常的な観察と適切な対処が愛犬の健康を守る第一歩となります。

まとめ

犬の鼻腔内腫瘍は深刻な病気ですが、早期発見と適切な治療によって良好な予後が期待できます。飼い主の皆さんには、愛犬の健康状態を常に注意深く観察し、初期症状に気づいた際は迅速に獣医師に相談することをお勧めします。また、犬種や年齢といった発症リスクを理解し、環境管理にも十分注意を払うことが大切です。最新の治療法を積極的に活用し、愛犬の健康を守るために尽力しましょう。

よくある質問

犬の鼻腔内腫瘍とはどのようなものですか?

犬の鼻腔内腫瘍は、犬の鼻の内部で形成される腫瘍です。これらの腫瘍の多くは悪性で、早期発見が難しいため飼い主の注意が必要とされます。腺癌や扁平上皮癌、未分化癌などさまざまなタイプの腫瘍が知られています。

どのような症状が現れますか?

初期症状としては、慢性的なくしゃみ、鼻水の増加、目やにの発生などが見られます。進行すると、鼻出血、顔面変形、呼吸困難、神経症状なども現れる可能性があります。これらの症状が続く場合は、早期に獣医師に相談することが重要です。

どの犬種や年齢層に多く見られますか?

シェットランド・シープドッグ、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバーなどの犬種で発症リスクが高く、中年犬(5~10歳)や高齢犬(10歳以上)に多く見られます。男の子に発症する傾向もあります。

最新の治療法にはどのようなものがありますか?

放射線療法が主流で、低線量多分割照射や高線量低分割照射などの方法が使われています。化学療法やNSAIDsとの併用、免疫療法なども期待されています。治療効果は腫瘍の進行度や患者の状態によって異なりますが、早期発見と適切な治療が重要とされています。

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